MEMORIES OF THE JOURNEY

PEACE BOAT VOYAGE 122 地球一周してきました!
A 107-Day Journey Around the World 2025.12.14-2026.03.30 

Vol.12

2025.12.18

第12話「新ジャンル歩行に出会う」の巻《前編》

現代人、文明に甘えがち。
歩く量も、足場のバリエーションも減りがち。
 
その結果、感覚と運動の総合力
——いわば「バランスOSのアップデート頻度」が落ちやすい。
 
そこで登場、現代人の課題代表「フレイル」。
最近よく聞くやつ。
 
本来は、加齢にともなう心身の衰えを指すことが多いけれど、
その手前にある
「歩く量が減る」「バランスを使う機会が減る」
「感覚と運動の総合力が落ちる」
といったことなら、年齢に関係なく起こりうる。
 
フレイル予防には運動が大切、とよく言われるけれど、
その中でも、ダンスやテニス、登山やハイキングなどが注目されるのは、
単なる筋トレではなく、
《歩く+バランス+判断》
が入っているから、なんじゃないかと思う。
 
そう、基本は、動いてなんぼ。歩いてなんぼ。
私自身も、歩きをはじめて“不健康”から離脱し、
登山をはじめて“守り”から“攻め”に転じ、
人生の土台が本気で変わった。
 
……さて本題。
船の上って、整地? 不整地?
 
結論。船上は
「整地っぽい不安定支持面」。
石でつまずくような不整地ではない。
床そのものはフラットで、足を置く場所としてはむしろ優秀。
 
ただし——
 
床そのものが動く。
つまり、地面の凹凸で姿勢が乱れるのではなく、
“支持面そのものの揺れ”によって姿勢が乱れやすい環境、というわけ。
 
なので船上を分類するなら、
《整地 × 外乱(不規則な揺れ)= 動く整地》
これ、新定義、新体験。
 
名付けて——
「連続外乱下歩行」←ドヤ顔
歩きの先生として、新ジャンル獲得(笑)
 
で、周囲を観察すると
みんなだいたい同じ歩き方になってる。
 
・前傾ぎみ
・こわばり気味
・歩隔広め
・歩幅狭め
・ちょこちょこ歩き
(補足:歩幅は縦のスタンス、歩隔は横のスタンス)
 

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理由はシンプル。
 
歩隔を広げる
→ 土台を広げて倒れにくくする
歩幅を狭くする
→ 重心の大きな移動を避けて、揺れの影響を小さくする
こわばる
→ 関節を固めて、予測しにくい揺れに備える
 
この歩き方が続くと、
疲れやすいし、船酔いもしやすくなりそう。
 
さて、ここからがマニアックトーク。
 
船上では、ときに
「歩きに慣れている人ほど、最初ちょっと脳内が混乱しやすいのでは?」
と感じた。
 
足裏感覚が鋭い人ほど、
ふだんなら信頼できる“足裏からの情報”が、
船上では少し当てにしにくくなることがあるから。
 
脳内会議、開催。
 足裏「今こうなってます!」
 床「いや、動きます!」
 脳「どっちやねん!!」
 
さらに——
 
視覚情報に頼る傾向が強い人ほど、
見えている世界と、体が感じている揺れとのあいだに
ズレが生じやすいことがある。
 
脳内会議、再び開催。
 視覚「動いてません」
 床「いや、動きます!」
 脳「どっちやねん!!」
 
すると脳は、
バランスをとるために使う情報の“配分”を組み替える。
 
足裏からの情報や視覚だけをそのまま信じるのではなく、
三半規管(内耳)をふくむ、さまざまな感覚情報を
その場に合わせて再編成していく感じ。
 
要するに船の上では、
「今までの感覚を信じすぎず、
情報整理の仕方を再構築せよ」
ってこと。
 
そして長く揺れにさらされていると、
脳はその揺れをだんだん“平常運転”として学習していく。
——脳、えらい。
 
ただし、
えらすぎるがゆえの副作用もある。
 
下船後に起こる“陸酔い”は、
船上で脳が必死に編み直した
「感覚情報の整理ルール」が、
まだ少し船仕様のまま残っている状態、とも言える。
 
いわば脳が、
「揺れに適応した処理モード」から
「止まった地面用の処理モード」へ、
ただいま再切り替え中。

だから陸は止まっているのに、
自分の中ではまだ“揺れの余韻”が続いてしまう。
 
で、下船した瞬間に起こること。
「え、陸が……揺れてない……のに……揺れてる気がする……」
これが、いわゆる“陸酔い”。
 
多くは一時的なもので、
ひどくても数日以内に落ち着くことが多い。
 
日々こうして振り回されるなかで、
脳がそれを“混乱”として受け取るのか、
“適応課題”として処理するのか。
 
そのへんのスペックが、
なにげに試されている。
 
後編につづく⋯
 
🌀To Be Continued🌀

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