山添乗員への道 Vol.3
「13センチヒールで出動」
いよいよ面接当日。
前回は約束の3時間前にキャンセル。だから今日もどこかで「幻かも?」と思っていた。
――が、電話は鳴らない。どうやら本当にあるらしい。
気が抜けていたぶん、服も持ち物もノープラン。「ま、まずい!…時間がない!」
で手に取ったのは、面接向きというより“ステージ衣装”w。普段は、音楽なら華やか、ウォーキングならピタピタ、――つまり、いわゆる“面接服”が家にない。
「ま、しょうがない。いつもの自分で勝負だ!」
会場は西梅田。チャリで駆け込み、玄関前に到着。やたら警備員さんにロックオンされる。建物を二周しても駐輪場が見つからない。
「ご用ですか?」
「面接に来たのですが…」
「うちは駐輪場がなくて」
ひ~、時間が迫る!それでも「今日だけですよ」と念押しのうえ、玄関前に停めさせてくれた。やさしい~。
全力疾走のせいで、前髪ぼさぼさ(汗)。深呼吸ひとつ。
「ま、しょうがない。いつもの自分で勝負だ!」
妄想で散々ふくらませた“担当者”に、いよいよ会えるらしい。ドキドキ、でもワクワク。
「こちらへどうぞ!」
案内された会議室には、にこやかな女性と無口そうな男性、二名。「はじめまして、こんどうちなみです」
――面接、スタート。
想像以上に手汗。就活生って、これを何十社もやるのか…すごい。と、心の中でリスペクト。
そして私は――
山添乗員の面接に「13センチヒールで来た女」。たぶん前代未聞。いや、今後もレア(笑)
「いつもの自分」っていったい ww
第4話につづく。
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